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権利が時効で消滅しそう!どうすればいいの?
消滅時効とは,一定期間権利を行使しなければ,その権利が消滅してしまうという制度です。例えば,Aさんが,Bさんに2021年4月1日返済の約束で100万円を貸した場合,2026年3月31日まで放置していると,同日以後返済を求めても,Bさんに消滅時効を主張されてしまえば,もはやAさんのお金の返還を請求できる権利は失われてしまうことになります。
時効期間
基本的に,債権者が権利を行使することができることを知った時から5年または権利を行使できる時から10年経過すると消滅時効が完成します。ただし,不法行為による損害賠償請求権は3年で時効になります。権利によって時効の期間が異なる場合もありますので,自分の権利を守るためには,自分の権利が何年で時効になってしまうのか,注意しておく必要があります。
時効の完成猶予及び更新
(1)次に,自分の権利が消滅時効でなくならないようにするためにはどうしたら良いかについてご説明します。
時効期間は,例えば裁判を起こして相手方に請求すると,その裁判が終わるまでは時効が完成しません(時効の完成猶予)。そして,裁判で権利の存在が確定すれば,時効が更新され,進行していた時効期間がいったんリセットされて,もう一度その時点から時効期間がカウントされることになります。
冒頭の例でいえば,Aさんは,2026年3月31日までに裁判を提起すれば,時効の完成が猶予されます。そして,裁判でAさんの権利の存在が確定すれば,時効が更新され,裁判終了時から再び時効が進行し始めます。
(2)時効の完成猶予や時効の更新が認められる事由は,民法に定められています。
裁判での請求以外で例を挙げると,債務者による債務の承認があります。
例えば,Bさんに借金の一部でも返済してもらえれば,通常貸金債権全体について承認があり,時効の更新の効果が発生します。その他にも,Bさんに債務がある事を認める旨を書面に一筆書いて貰うという方法も考えられます。
ただし,債務者が非協力的な場合は債務の承認を取ることは難しいので,時効期間が経過してしまう前に,裁判での請求等をしなければなりません。
時効期間が経過してしまった
時効期間が経過してしまうと,裁判で請求しても,債務者の方から時効を援用されてしまうので,基本的には権利が消滅してしまいます。
但し,債務者が,時効期間が経過していることに気づかずに,債務があることを前提とした行為をした場合には,信義則上時効を援用できなくなるため,債権者としては債務の履行を請求できるようになります。時効が完成した後に,Bさんに一部でも返済してもらえれば,もはやBさんは時効を援用できなくなるのです。
最後に
以上簡単に時効の制度をご説明しましたが,自分の権利がそろそろ時効なんじゃないかと不安に思われた場合には,一度弁護士にご相談いただければと思います。