破産手続は、おおよそ、次のような形で進みます。
1 破産の申立て
債務者又は債権者が破産の申立てをします。通常は、申立代理人である弁護士が行います。申立ては会社の所在地を管轄する地方裁判所にするのが原則です。
2 債務者審尋(申立ての棄却)
債務者に対して、破産申立てに至る経緯や現在の財産、負債の状況を知る目的で、裁判官が事情聴取を行います。
3 保全処分等
申立てから破産手続開始決定までの間、裁判所は債務者の財産に対して保全処分を出すことが出来ます。これは、破産手続開始までの間に債務者の財産が散逸することを避けるための手続です。
4 破産手続きの開始決定・破産管財人の選任
裁判所により破産手続開始決定がなされると、株式会社は解散し、同時に破産管財人が選任されます。破産管財人も弁護士ですが、申立側弁護士とは違い、中立の立場から破産事務を取り扱います。
5 破産債権の届出・調査・確定
債権者は、裁判所により定められた期間のうちに、破産債権の届出をする必要があります。届け出られた破産債権は、破産管財人の債権調査を経た後確定されます。
6 破産財団の管理
破産債権の確定手続と平行し、破産財団(破産会社の財産)の調査・管理を行います。破産管財人は破産財団を正確に把握しなくてはなりません。また、場合によっては役員等に対する責任追及が行われ、損害賠償請求などが行われることもあります。
そうすると役員から破産財団にお金が入り、破産財団が増えるからです。破産管財人は破産財団を可能な限り現金化し、配当の準備を進めます。
7 異時廃止
破産手続開始決定後、破産財団では破産手続の費用がこれ以上支弁できないとなった場合には、破産手続廃止の決定がなされます。この場合は債権者に対する配当は行われません。
※6で破産財団をつくり、5で配当先を確定し、8以下に進みますが、破産財団がろくに形成されないと7で終了します。
8 中間配当
破産管財人の裁量により、換価が進んだ破産財団を随時債権者に配当していくことが可能です。
9 最後配当
破産財団の換価がすべて終了した後、届出をした破産債権者に対して配当が行われます。最後配当は厳格な手続の下で行われますが、配当金額が少ない場合の簡易配当や、届出破産債権者全員の同意が得られた場合の同意配当のように、状況に応じた簡易迅速な配当方法を取ることも出来ます。
10 破産手続終結の決定
最後配当が終了した後、債権者の異議申し立て期間が終了したときには破産手続終結が決定されます。この決定により、会社は消滅することになります。
弁護士が受任してから終了するまでの期間は、1~2年が目安になります。ただし、経営者様には、破産手続に協力はしてもらうことになりますが、弁護士が受任した後は、人生の再出発のための活動を中心にしていただくことになります。